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四月十日之空

第1章    



ヒュンヒュンヒュンヒュン…

 ヒュンヒュンヒュンヒュン…


「…………」

「…………」


佐助が目を休めている間に伊稚、白鹿、雨乃が男たちと対峙している。

腹の探り合い、隠し手の読み合いが忙しなく行われ、鎖が空(くう)を切る音以外、どちらも動く気配がない。

唯一、佐助の目を見た雨乃だけが、敵の正体に当たりをつけていた。


「気を付けろ。目が死ぬぞ」


口布で悟られない程度の声で二人に伝える。聞いた二人にも動揺は見られない。


「てことは、やつら」

「独眼竜の黒脛巾組(くろ はばき ぐみ)だ」


ボフン!!


俊敏な動きで投げつけられた火薬が小爆発を起こし、見る間にあの煙が立ち上る。雨乃たちは風下にいた。


「ちっ」


雨乃は佐助の元まで下がり、散り散りに飛んだ伊稚と白鹿を追いかけて4人が散った。

ノロノロ追いかけてくるとはいえ、目を痛めた佐助を連れて退くのは、容易ではない。


「雨乃!」

「黙ってろ…!失明したくなきゃ目を開けるな!口塞げ!!!!」


急に風に乗った煙が二人を包み、煙を多く吸い込むまいと腕で口許を庇う。

淀んだ色味で視界が悪い。
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