第1章
投げられた分銅が首元に巻き付く瞬間、咄嗟に左腕を咬ませる。
ジャラジャラと冷たい音で絡まる鎖。
手繰り寄せられると有無を言わさぬ強さでガクンと頭が垂れる。
ガシャガシャッ!
「…っ!」
辛うじて頸(くび)は絞まっていないものの、窮屈な体勢であることに変わりはない。もう一本投げられたら終わる。
(…メジロが留まった)
横顔しか見えないメジロが、まるでウインクした様に見えた。
(クナイ、大丈夫かな)
目覚めが良くない、ちょっとワガママなお姫様。………あれ、オスかな。
「……狂うたか」
男たちの目には、目元を和らげて佐助が微笑んでいるように見えた。