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四月十日之空

第1章    



通ってきた横穴を潰しつつ洞窟近くまで抜けきると、木の葉越しに小屋のあった辺りから煙が上がっているのが見えた。


「現代風火遁、芸術は爆発だの術」


息苦しさもいつの間にか無くなり、涙跡が乾燥してゴワついている以外、特に異常もない。


「…それにしても、あの人たち誰なんだ」

「知りたいか」

「!!!」


振り向くと、黒い忍び装束を来た男が立っていた。初動が遅れた佐助は、慌てて背中の刀に手をかける。


「春日の猿よ。大人しく山へ帰れば首は繋げておいてやる」

「…………あなたたちは誰ですか」

「首を置いていくか?」

「………………」


柄を握る手が汗ばむ。
気配もなく小屋を急襲し、退避した先で背後を取った男たちに、佐助は自分と同じものを感じた。


「どこの忍ですか」

「……春日の猿は死にたがりらしい」


男の手がゆっくりと柄に伸びる。
懐の忍具は乏しい。


(やりあうしか無いのか)


覚悟を決めて柄を握り直す。辺りには一触即発の重い気運が立ち込め始める。
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