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四月十日之空

第1章    



「…………」


てんでバラバラな方向から床板が軋む。
僅かに差し込む光が足裏に遮られ、佐助の顔がところどころ影になる。


(俺を探してるのか……?)


床下から横穴を掘っていてよかった、と体勢を変えた瞬間、目の前に鋒(きっさき)が降ってきて息が詰まる。


「どうした」

「……“ 鼠 ”じゃ」


ダンッッッ!!!

背後で踏み抜かれた床板が撓(たわ)み、弾かれるように頭上の板まで吹き飛んだ。煙は見えない。


「く……ッ!」


ヒュンッ
スパッ……ガッ


斬りかかってくる直前。
梁(はり)目掛けてクナイを飛ばし、口布を鼻上までずり上げて、懐に忍ばせてあった目眩ましを叩き付ける。

ボワッとした白煙が上がり、相手が怯んだ隙に横穴の奥へと駆け込んだ。


「この程度の目眩ましなど」

「離れろ!!!」


目眩ましの白い靄(もや)がパチパチと爆ぜはじめ、天井から降ってきた粉と反応して小爆発が起こった。

ボンッと小屋自体が揺れ、隙間から煙が立ち上る。

その揺れは、横穴を抜ける佐助も感じ、上手くいったことを知った。
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