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空白の記憶

第2章 Story-0 empty



0-1 朝

気怠い朝が来た。
起き上がるのも面倒で、僕は布団に潜り込んだ。
乱暴に切ってやった髪が乱れる。どこか絡まっているかもしれない。
体を丸め込むようにして、布団の中で冬の熊になる。
目は、虚ろに開く。目の前は布の肌茶色だ。

視界に入るのは、黒いズボンと自分の手。
他は何もない。
他は何もない。
この空間には、他に何もない。
確かめるように瞬きをする。
ここは、何の空間か。何の為の空間か。

僕はここに居て良いのか。

そう考える内に目蓋は閉じ、深い夢に戻っていた。
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