第2章 Story-0 empty
群青の無地の着物に、蛍光の黄色の帯。
女物を身につけているが、少し図体が大きい気がする。
足袋で冷たい床を踏みしめるその人は、綺麗な白い肌、僕から見て左頬にガーゼを貼っていた。
茶色く輝きのない目、焦げ茶のふわりとした髪を、肩に着かない位の長さに切ってあった。
「起きたか。」
男だか女だか解らない人は、僕に歩み寄る。低い声だ。
その隣、灰色の薄い上着を着、薄桃色のワンピースを身に付けた女の子。
ハイソックスを履き、首には赤く丸い宝石が一つだけつけられたネックレス。
黒髪は、僕から見て右蟀谷(コメカミ)の髪を編み込み、左蟀谷に桃色のリボンを着けて固定している。
後ろ髪を密編みにして、胸の辺りまで伸ばしていた。
「いっ……カラシロ君、体調はどう?」
高い声の女の子は、僕に歩み寄る。
黒い目は、活気に満ち溢れていた。