第2章 夏はまぶしい季節です。
「…………ればいいだろ。」
「へ?」
声が小さすぎて聞き取ることができなかった。もう一度、の意味を込めて聞き返す。
「また来ればいいだろ。今度は勉強とか関係なく……。DVD、一緒に観るためだけに。」
「……………うん!」
今泉くんのその提案が嬉しくて、笑顔がこぼれた。
一体、どこまで私に合わせてくれるんだろう、今泉くんという人は。
私は上機嫌のまま再び問題と向き合い始めた。
「そうだ。さっきの問2、もう一度説明お願いします!」
「これが最後だからな、ちゃんと聞けよ?」
「はーい!」
柔らかい笑顔を私に向けた今泉くんは、再び説明を始める。私も今度こそそれに集中して彼の声に耳を傾ける。
かくして、おいしいお茶とお菓子をいただきながら今泉くんと一緒にプリントと格闘する時間は、私にとってとても楽しいものになったのだった。