第2章 夏はまぶしい季節です。
「高橋、に余計なことを言わなかっただろうな…?」
そうこうしているうちに今泉くんが戻ってきた。
「はい、何も申しておりませんよ。私はこれで失礼いたします。」
最後にもう一度だけ微笑んで高橋さんは仕事に戻っていった。
高橋さんが出ていくまで疑惑の目を向けていた今泉くんだったけど、ドアが閉まると同時、ほっと息をついてまた私の隣に腰を下ろす。
「よし………気を取り直して始めるか。」
「うん!」
「………なんだ?なんか急に元気になってねぇか?」
「あのさ。勉強頑張ったらご褒美にさー」
「………?」
目の前の今泉くんの喉がゴクリと鳴る。
そんな大したことを言うわけじゃないのに…なんだか申し訳ない。
「一緒にDVD観ない…?」
「………………は……?」
数秒、呆気にとられたような顔をしていた今泉くんの表情がフッとはじけた。静かに笑ってくれる。
「おいおい、プリントどれだけかかると思ってるんだよ。その後観るってことはうちに泊まってでもいくつもりか?どうせ1話だけじゃ済まないだろ?」
「はー、そうだよね……時間足りないかあ。確かにオールナイトコースになっちゃうね、たくさん見ようとすると…。」
肩を落とした私を見て、今泉くんは可哀想だと思ってくれたのだろうか。
また口を開く気配があった。