第2章 夏はまぶしい季節です。
「。………おい、聞いてるか?」
「は、はいい!!ごめんなさい!」
「その様子じゃ聞いてなかったな…」
「ごめん、もう一度チャンスを…!」
「いいけど…今何考えてたのか教えろよ。」
「ええ?!」
「そんな言えねぇようなこと考えてたのか?…ったく、人が説明してるときに…」
「あはは………いや、あの。その…」
「?」
「今までで一番近くにいるなって思ったら緊張しちゃって。」
「…………!!!」
私の言葉を受けた今泉くんは一瞬で真っ赤になり、即座に私と十分すぎるほどの距離を取る。
「わ、悪い。別にそんなつもりじゃ……」
「え、いやそんな。私こそごめん変なこと言って。今泉くんってあんまり普段からパーソナルスペース踏み込んでこないから、なんか慣れてなくてさ。」
「……鳴子みたいに女子にベタベタ触るっていうのが俺はどうしても理解できなくてな…」
「いや、いいと思うよ?人それぞれだし。そういうふうに考えるの、慎重で今泉くんらしい。鳴子くんはほら、ああいうキャラだしね?」
「……………。」
静かに私を見つめる今泉くんに気付いた私は彼の目を見つめ返して問う。
「どうかした?」
「は……鳴子に馴れ馴れしくされても嫌じゃないのか?」
「え、うん………別に。鳴子くんらしいなとしか思わないかな。それに今泉くんが言うほどベタベタされた記憶もないけど…」
「じゃあ、鳴子みたいなことを俺がしたとしても嫌じゃないんだな?」
「??…………うん。嫌とかあるわけないよー。でもちょっと今泉くんだと想像し難くはあるけど。」
「…………………そうか…」
「……うん。」
「なら…………」
「ん?」
「もう少し……近くに座ってもいいか?」