第2章 夏はまぶしい季節です。
高橋さんは、今泉くんの後について2階へと上がる私にずっと微笑みかけてくれていた。
あの人は何なのだろう。お手伝いさん?お抱え運転手?使用人?執事??
いずれにせよ今泉家で雇われている身のようだ。
誰もが知る国民的アニメのお金持ちな少年の家に仕える○○じい、のようなそれに私には見えた。
あれも執事の方は「坊ちゃん」だか「坊ちゃま」と呼んでいたような気がする。
それはさておき、どちらにしても!!庶民の家では絶対にありえない光景だ。
軽くカルチャーショックを受けていると、今泉くんがある部屋の前で立ち止まり、ドアノブを握る。
ここが彼の部屋なのだろうか。
今泉くんに続いて足を踏み入れると、カルチャーショックの第二波が私を襲う。
「広っ!!!!!」
一体何畳あるのだろうか。
絶対に子供部屋としてあてがわれるような部屋のサイズではない。
部屋の隅にはローラーが設置してあり、その上にはロードバイク。
どうやら子供部屋兼練習部屋のようである。
もうそもそもの生活レベルが違うのだからいちいち考えるのも虚しくなるけれど、部屋でロードの練習ができる環境が整えられていることがまずすごい。
私の部屋ではこのローラーを置くことすら難しいだろう。(仮に置けたとしても生活するのに絶対に窮屈になるはずだ。)
この部屋に来るまで通った階段や廊下、壁にかかる調度品なども豪華で掃除が行き届いていて、まるでモデルルームのようだった。
改めてすごいところに来てしまったなと身震いする気持ちになる。
「まあ、適当に座ってくれ。」
「は…はーい。」
4人で囲むのにちょうど良さそうなサイズ感のテーブルの前に腰を落ち着ける。
今泉くんも向かいの席に腰を下ろした。