第1章 春は出会いの季節です。
皆が頑張っている中マネージャーはマネージャーで忙しく、一日中幹と二人で走り回っていた。
こんなに体力を使ったのは久しぶりで、更に慣れない環境との相互作用もあり、想像以上に疲れてしまった。
夕食もお風呂も終え、今は合宿場所であるサイクルスポーツセンターのロビーで涼んでいる。
一休みするのに適当に選んだ場所だったけれど。
ここのソファが思っていたよりも座り心地がよく、体を預けて今日の皆について考えていたら、うっかりそのまま意識を手放してしまった。
うたた寝したとき特有の気持ちよさを感じながら、ゆっくりと目を覚ましたのは一体どれくらい経ってからだったのだろう。
「ん…………」
しまった。お風呂あがりにこんなところで、何もかけないで寝てしまった。
体調を崩すわけにはいかないのに…
そう思って急いで立ち上がろうとしたとき、私は自分の体を覆っていたものに気付く。
「ジャージ………?」
「よ、お目覚めか?」
「わあああ!!!!」
誰もいないと思っていたソファの隣に座っていたのは手嶋先輩だった。
驚いたので自分でも思っていた以上に大きな声が出てしまう。
「おーおー元気だな。少し寝たら回復したか?」
「は、はい………すいません大きな声出して。」
「いや、大丈夫だよ。俺こそ悪い。そりゃびっくりするよな。」
そう言って手嶋先輩は苦笑を浮かべる。