第1章 春は出会いの季節です。
手嶋先輩の呆れた視線の先を追えば、そこには鳴子くんと今泉くんが。
「どこの誰やそのイケメンいうんは!!ちゃんのピンチに颯爽と現れるんはワイでないとアカンねん!!」
「小野田とを助けてくれたことには感謝だが………なんか気に食わねぇ…!」
「おいおいお前らそのへんで収めとけよ。二人が行き倒れれば良かったわけじゃないだろ?それにそんな通りすがりのやつに嫉妬しなくても、もう二度と会うことなんてねーよ。」
「パーマ先輩………まあそう言われれば、そうやな…」
「でも…ロードに乗ってたんだよな?」
今泉くんが私に視線をよこす。
「あ、うん…箱学の人だって。」
「何?!箱学…?!!」
「アカーン!再会の予感バリバリやんけー!!!ちゃん、今からワイが催眠術かけたる。その男のことはきれいサッパリ忘れるように…!」
「あはは…そんなことしなくても別に大丈夫だよ。」
よく考えたら。
確かに再会の機会はあるかもしれないけれど、もう一度会ったとして向こうが私のことを覚えているという確証はない。
こちら側は、イケメンだし顔をまじまじと見てしまったけど反対はありえない。よって、真波くんからしたら「あの時の子ってこういう子だったっけ?」となることが往々にして考えられる。
なんだかすごく虚しいけれど。
2度目があったとしてもそういうリスクがある以上はこちらから不必要に話しかけることはできないなあと思う。
無駄に恥ずかしい思いをしたくはなかった。