第1章 春は出会いの季節です。
「一応曲がりなりにもアニ研なんだし、アニメの絵描こうか。」
「そうだね、僕あんまり絵自信ないけど頑張るよ!」
「私も美術苦手だからなあー。小野田くんはなんのアニメの絵にするの?」
「え、僕?!僕はね!!!」
よくぞ聞いてくれましたというテンションでメガネを光らせ、小野田くんが勢い良く立ち上がる。
「ラブヒメかな、やっぱり!!!今日もね、この後アキバに行ってBlu-Rayを買ってくるつもりなんだ」
「え、今からアキバ?でも学校おりるバスはもう…」
「ああ、大丈夫。僕自転車なんだ。裏門坂を下りて行くつもり。」
「そうなんだ。じゃあ、今日はこのくらいで終わりにしよっか!アキバに着くの遅くなっちゃう」
裏門坂について、私はまだよく知らなかった。登下校時には皆正門の方を使っており、知りうる限りでは裏に回っている人はいない。
正門坂と同じか少しきついくらいの坂なのだろうか。
この時はまだその程度にしか思っていなかった。