第1章 春は出会いの季節です。
真波くんと別れたあと、ぽーっとする頭でなんとかかんとか坂を登り、小野田くんの所へ辿り着いた。
そして、小野田くんと共に迎えの車で救出され、やっとのことで合宿所に到着。
まだ合宿は始まってすらいないのに、なんだかもう気持ちが疲れてしまった。
迎えの車を降りると、先に到着していた皆が心配そうに駆け寄ってきた。
「小野田!!大丈夫だったか!?」
2年生の手嶋先輩が私達を気遣いながら声をかけてくれた。
手嶋先輩は今泉くん同様人のことをよく見ている人で、とにかく気が利く。
相棒の青八木先輩はあまり喋らない人だけど、それでも彼の意図を察して皆に代弁してくれたりもしている。
私にとっても、入部してからわからないことや困ったことがあると、いつも先回りして手を差し伸べてくれているとてもありがたい先輩だった。
「悪かったな、俺近くの席に座ってたのに荷物の事気付けなくて。ほら、喉かわいたろ、これ…」
そう言って差し出そうとしてくれたペットボトルを持った手を手嶋先輩が引っ込める。
どうやら私が持つ空のペットボトルに気付いたらしい。