第1章 春は出会いの季節です。
今泉くんが急に大きな声を出したので少し驚いた。
こんなにラブヒメを受け入れようと頑張るなんて、きっと小野田くんともっと仲良くなりたいんだろう。そうに違いない。
「そんなに興味持ってくれたらきっと小野田くんも喜ぶね!」
「あ、ああ………。そういえば有丸?ってやつに俺が似てるとか言ってたな。」
「ああー!言われてみれば?!ちょっと似てるかも?!有丸くんかっこいいもんね!」
脳内の有丸くんの顔と、目の前の今泉くんの顔を比べて少し興奮する。
さすが小野田くん、ラブヒメファンだけあってよく見ているようだ。
リアルであれだけ女の子に人気がある今泉くんだ、二次元のイケメンに似ていても何ら不思議はない。
歩きながら今泉くんの顔を凝視し続けていると、顔を俯かせた彼が呟いた。
「あんま長いこと見るなよ…」
「あ、ごめん。あんまり長く見られたら誰でも恥ずかしいよね。」
彼は片手で顔を覆う。
前も見たな、この仕草。
あのときも何か照れたような場面ではなかったか。
意外と照れ屋さんなのかもしれない。
今泉くんは今までも女の子に注目を浴びることなど数え切れないほどあったろうに、そういうときは一体どうしていたんだろうか。少し不思議に思う。