第1章 春は出会いの季節です。
「今泉くん、朝音楽聴いてくるんだね。」
「ああ、もだな。何を聴いてるんだ?」
「んー、普段はJ-POPとか…やっぱアニソンかな?」
私の返答に今泉くんは、やはりそうかという感じで笑みを見せる。
「今はね、小野田くんがオススメしてくれたやつ聴いてたんだ。」
「小野田が…?何のアニソンなんだ?」
「ふふ、小野田くんだとアニソン決定なんだね。」
「だって実際そうだろ?」
「うん。ラブヒメってアニメのー…」
「!!!」
「ラブヒメ」という作品名にやけに動揺する今泉くん。不思議に思ったけど、先を続ける。
「恋のヒメヒメぺったんこって曲。可愛くて良い曲なんだよー。私これ歌ってる声優さんも好きで…」
「小野田がよく歌ってるやつだろ…」
「そうそう!円盤も貸してもらってさ、見てみたんだけどこれが面白くて。ことりちゃん可愛いし…」
「え、円盤………?」
「ああ、ごめん、Blu-RayとかDVDのこと。」
「ああ、なるほど……円盤な。確かに……。小野田、俺にも貸してきたぞ、その円盤とやらを。」
「そうなの!どうだった?やっぱり今泉くんはあんまり興味ない?」
私の質問に今泉くんは一瞬逡巡したような間を見せたあと、言う。
「いや、そんなことはないが…」
「別にそんな無理しなくていいのに。合う合わない、興味の有無はどうしようもないんだし」
「む………無理なんかしてねぇよ!」
「あ………そ、そう?」