第1章 春は出会いの季節です。
「……はどういうアニメが好きなんだ?」
「へ?私??」
私の好きなアニメなんかを聞いて、果たして面白いのだろうか…
そう心配になるけど、気を利かせて質問してくれたのかもしれないのできちんと答えようと思う。
でも、きっとおすすめを知りたい訳ではないだろうから、具体的な作品名ではなくジャンルに留めよう。
今まであまり周囲の人にアニメの話をしてこなかったから、どの程度まで一般の人が許容してくれるのか分からない。
この先引退まで同じ部活で過ごす彼にあんまりグイグイ行って引かれるのは嫌だから、つい身構えてしまう。
「スポーツものでしょ、青春ものでしょ、部活ものでしょ、ロボットものも好きだし……んー、ファンタジーも好きかな。少女漫画系も好きだし…」
「ちょっと待ってくれ、一つ。ひとつに絞ってくれないか。」
「へ?」
「……………」
隣を歩く彼はバツが悪そうに私と視線を合わせない。
これは、私のオススメも見てくれるということなのだろうか。
真意を測りかねるので、間違っていたらイタイことになりかねない。
慎重に様子を伺っていると、ようやく今泉くんが目を合わせてくれた。
「そんなに警戒すんなよ。が好きなもの、俺も見てみたいと思っただけだ。」
「ほ、ほんとに………!」