第1章 春は出会いの季節です。
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自転車競技部に入部を決めてから早一週間。
私の生活はガラリと様子を変えた。
登校時間はとても早くなる一方で、帰宅時間は遅くなった。
朝は眠たくないと言えば嘘になるし、帰宅してから趣味に費やす時間も以前に比べればもちろん減っている。
けれど、頑張る皆を側で支える仕事はやりがいがあった。
先輩方も快く迎えてくれた。
朝、学校に向かう足取りは軽い。
まだ新生活の興奮が抜けきっていない感じはあるので、それがなくなると一気に気が緩んで体調を崩しやすくなる。
GW明けは気をつけなければならないな、と、練習予定を写した手帳を確認しながら思う。
手帳を閉じ鞄にしまい、学校への道を歩きだそうとしたとき、
「朝からご機嫌だな。」
と、今泉くんの声が、イヤホンから流れる音楽越しに聞こえた。
急いでイヤホンを外して答える。
「あ、おはよう!」
声をかけてきた今泉くんも私の挨拶に答え、耳につけていたイヤホンを外した。