第1章 春は出会いの季節です。
「今泉くんって下の名前俊輔くんて言うんだね。」
「…………!!」
小野田くんと鳴子くんは、自己紹介のときに下の名前も聞いていたけど、今泉くんは直接自己紹介された訳でもなくクラスも違うので知らないままだったのだ。
「何照れとんねん気色悪!!」
「て、照れてねぇようるせぇな鳴子!!」
「ちゃん!ちゃうで、コイツはスカシ泉スカシ言う本名やから!!」
「そんな名前のやつがいるか!」
「なあ、ワイのことも名前で呼んでーなーちゃん」
「、呼ばなくていいぞ、無視しろ。」
二人は仲が良くないのかなと思っていたけど、こうして様子を見ていると絶対的に相性が悪いかと言われればそういうわけでもなさそうで。
見ようによっては楽しんでこのやりとりをしているようにも見えてくる。
だからと言って二人だけだとうまく回らない場面ももちろん多々あるので、そういうときは小野田くんが潤滑油的な存在になっている。
なんだか3人、すごくバランスがいいのかもしれない。
またもめ始めた二人を笑いながら仲裁する小野田くんを見て思う。
そんな三人を見て、私はまた笑顔がこぼれた。
楽しいな。この学校に来て、良かったな。
改めて皆、よろしくね。
これから始まる本当の意味での新生活に胸踊らせながら、賑やかな昼休みは過ぎていった。