第1章 春は出会いの季節です。
「……………。中学ん時運動部だったのに高校でアニ研志すってことは、少なからず運動部に嫌気がさしてたんじゃねえのか?」
少し考えるように間をおいた巻島先輩は、突如として直球を放ってくる。
「あー、そうですね。その通りです。中学の女子運動部ってすごく上下関係厳しくて。先輩は神様!くらいの扱いをしないといけなかったり。」
「まあ、思い返せばそんな所もあったかもしれねぇな。」
「本来の目的のスポーツ以外の所で疲れちゃうんですよね。先輩に気を遣い、仲間に気を遣い。」
「さっき、私には気を遣わなくていいって言ったのに自分は気を遣うのかよ。」
そう言って、巻島先輩は笑う。
さっきのぎこちない笑顔ではなく、今度は苦笑。
「なんていうか…そうしないと居場所がない感じっていうの、あるんですよ。女子が大勢集まると。」
「そういうもんなのか。」
「だから、そういうのが嫌で。高校ではもっと自由に、自分のままでやりたいことができたらって思って…たんですけどね。」
「ああ………よりによって休止のアニ研ショ………」
「はい………」