第1章 春は出会いの季節です。
「小野田くん、部活いこっか。」
放課後。
約束通り自転車競技部の練習を見に行くため、小野田くんに声をかけた。
鳴子くんに誘われ、見学に行くことを決めたのはあらかじめ彼と幹には話しておいた。
「うん!なんだかもう同じ部活みたいだね。」
そう言ってニコニコと笑う小野田くんはとても可愛い。
「鳴子くんがね、さんが見にくるのをすごく楽しみにしてたんだ。今日絶対誘うんだって朝から燃えてて…」
もちろん僕も楽しみにしてたんだけど…
と、最後の方の言葉は聞き取れないくらい小さかったけれど、辛うじて分かった。
「ありがとうね、小野田くん。」
「う、うん。」
頬をほんのり赤く染めて、小野田くんは私から視線を外す。
「もう先輩達も鳴子くんのおかげで皆さんの名前覚えてると思うよ。」
一体部活でどれだけ私の名前を出しているんだろう、鳴子くんは。
今の話を聞いただけでも恥ずかしくなってくる。