第1章 春は出会いの季節です。
「あいつうるせぇんだよ、部活でしょっちゅうの話してて。」
「そ、そうなんだ……」
「俺らのところに来てほしいって、言うのは簡単だ。俺だってそう思ってる。でも俺はそれ以上ににやりたいことをやってほしいと思ってる。」
「え……今泉くんも私にマネージャーやってほしいって思ってくれてるの?」
「あっ………」
本来伝えるつもりがなかったところまで言葉になってしまったのだろう。
一瞬で顔を赤くした今泉くんは口元を手で押さえる。
「ありがとう……何だか今泉くんイライラしてるから、迷惑なんだろうなって思って。」
「いや、あれは……。鳴子があまりにもお前に馴れ馴れしいから腹が立っただけだ。」
先程から今泉くんは鳴子くんに対してマイナスな言葉ばかりを選ぶ。
二人はタイプが違うから、もしかすると合わないところもあるのかもしれない。
「なあ、鳴子がしつこくて困るようなら俺に言えよ。」
「え。」
今の所そんなにしつこいと感じているわけではないけれど、今泉くんは心配してくれているようなので素直に頷いておく。
「それと、放課後は予定通り見に来いよ。その上でもし自転車部での活動がのやりたいことになるなら、その時は喜んで歓迎する。」
「……うん!」