第1章 春は出会いの季節です。
今泉くんは見るからにイライラしている。
何故か。
やはり、煮え切らない私の今の態度にだろうか。
普段から努力している人からしたら、少しうまく行かないくらいで流されるな、もっと頑張れ、と言いたくなるのかもしれない。
それに、中途半端な覚悟で自分達の部に入られるのは迷惑なのかもしれない。
幹から聞いたところ、本気で全国優勝を目指す気概のあるチームだそうだ。
「ご、ごめん……」
「………?」
「本気で全国目指すようなチームに、適当な気持ちで来られたらそりゃあ迷惑だよね。」
「おい、ちょっと待て。何か勘違いしてないか……?」
「鳴子くんに伝えておいてくれる?今日やっぱり行けないって。」
それだけ言って自分の教室へ入ってしまおうと歩を進めようとしたけれど、それに気付いた今泉くんが私の前の道を塞ぐ。
「悪い。俺口下手であんまりうまく伝わらないかもしれねぇけど、心配してんだよ。」
「え……」
「にはやりたいことをやってほしい。初めて会った日、アニ研のこと話してたお前、すげえ良い顔してたから……。鳴子がギャーギャーうるさいことで雑音耳に入れてほしくねぇんだよ。」
心配、してくれてたのか。
苦い表情で慎重に言葉を選ぶ今泉くん。