• テキストサイズ

【YP】明日もきみは風になる。

第1章 春は出会いの季節です。




「そ、そんな…………」


どのくらい呆然と立ち尽くしていたのだろうか。
突然思考に割って入ってきた背後からの声に驚き、私は振り向いた。


そこには丸眼鏡をかけた小柄な男の子が、今の私と同じような絶望の色を瞳にたたえて立ち尽くしている。


この子も、アニ研に入りたかったんだ………


「あ、ああああああのっ!!!!」


私がぼーっと目の前の彼を無言で見つめていたからか、掲示から私に視線を移した彼は口を開いた。


「あの、あなたも1年生ですか?!この掲示を見てたってことはアニメ研究部希望だったんですよね?!!」


押しの弱そうな顔をしているのに、私を押し倒しそうな勢いの必死な大声で迫ってくる。
きっとこの子も、思い描いていた高校生活があったんだろうな。


そう思うと何だか自分達がとても可哀想な気になって、不覚にも少し目が潤んでしまう。
なんで、せっかく新しい春なのに。出だしからこんななんて、ひどすぎる。

/ 107ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp