第1章 春は出会いの季節です。
「そ、そんな…………」
どのくらい呆然と立ち尽くしていたのだろうか。
突然思考に割って入ってきた背後からの声に驚き、私は振り向いた。
そこには丸眼鏡をかけた小柄な男の子が、今の私と同じような絶望の色を瞳にたたえて立ち尽くしている。
この子も、アニ研に入りたかったんだ………
「あ、ああああああのっ!!!!」
私がぼーっと目の前の彼を無言で見つめていたからか、掲示から私に視線を移した彼は口を開いた。
「あの、あなたも1年生ですか?!この掲示を見てたってことはアニメ研究部希望だったんですよね?!!」
押しの弱そうな顔をしているのに、私を押し倒しそうな勢いの必死な大声で迫ってくる。
きっとこの子も、思い描いていた高校生活があったんだろうな。
そう思うと何だか自分達がとても可哀想な気になって、不覚にも少し目が潤んでしまう。
なんで、せっかく新しい春なのに。出だしからこんななんて、ひどすぎる。