第1章 春は出会いの季節です。
「おーい、あのー!ワイのこと忘れてません?お二人さん」
「「あ………」」
「ご、ごめん鳴子くん…僕アニメの話になるとつい…」
「まあええけど、勝手に二人の世界入らんといてほしいわ。」
「ええ!二人の世界なんてそんな…」
小野田くんは見るからに顔を赤くして照れ始めるけれど、それにはお構いなしという感じで鳴子くんはグイグイ私に顔を近付けてくる。
「なあ!さん言うんやろ、下の名前は??」
「え……えっと、…」
「ほなちゃん呼んでもええ?」
「う、うん。」
鳴子くんは初対面なのに結構グイグイくるし強引だけど、不思議と嫌な感じがしない。
先程の小野田くんの話を聞く限り、義理を通すしっかりした性格の持ち主でもありそうだ。
自分が部に誘った相手のゴタゴタまで責任持って引き受けるというのは、なかなかできないことだと思う。
「ちゃんかあー、可愛え名前やなあ。名は体を表す言うやつやな。」
「あの。さっきから可愛い可愛いってちょっと恥ずかしいんだけど…」
「なんで?ええやん、ホンマのことなんやし。」