第1章 春は出会いの季節です。
やっぱりそうなんだ。
今泉くん然り鳴子くん然り。
元々競技をやっている人から見てこれだけ気になる存在ということなら、その素質もかなり期待のできるものだろう。
「そんでな、ワイ自転車競技部入るから一緒にロード乗ろうや言うたら、アニ研のこと聞かされましてん。再始動に向けて一緒に頑張ってる子がいるから、て…」
「ごめん鳴子くん。やっぱりその先は僕が自分で話すよ。」
先を続けようとした鳴子くんを制し、真剣な凛とした眼差しを小野田くんは私に向けた。
「さん。僕、自転車を真剣にやってみたいんだ。今泉くんや鳴子くんと出会って、少しでも僕に可能性があるなら自転車にかけてみたいと思ったんだ。
でも……高校でアニ研が活動してないって分かったとき、僕を支えてくれたのはさんだったから。君を一人にして僕だけ他のことを始めるなんて……」
小野田くんは俯きながらも、続ける。
「そのことを鳴子くんに話したら、自分が部に誘ったんだから自分にも責任がある、一緒に説明に行くって言ってくれたんだ。」