第1章 春は出会いの季節です。
一秒もしないうちに撃沈した。
若干食い気味に返ってきた答えにメンタルをえぐられる。
そんな私の様子に、どうやら自分を勧誘しようとしたらしいと気付いた彼は戸惑った声で言う。
「そ……そんなに落ち込むな。あと数人だろ、集めなきゃならないのは。俺も同じ中学のアニメ好きのやつに声かけておいてやるよ。」
「………………!!!!!!」
良い人だ。
この人は絶対良い人だ。違いない。
顔良し、性格良し、高身長。
モテるのも納得だ。
「ありがとう今泉くん!!よろしくお願いします!!じゃあ私、ポスター描かないとだから帰るね!!ほんとありがとう!」
ペコペコ今泉くんに頭を下げて、昇降口へと走る。
「おい、まだ名前聞いてねぇ…」
背中でそんな声を聞いたような気がするのは、気のせいだろうか。