第1章 春は出会いの季節です。
「お前も元々俺を知ってるのか。」
元々知っていたら何なんだろう。
さっきの女の子達のことも関係あるのだろうか。
「いや……さっき後ろで女の子に名前呼ばれてるの聞いたから。ごめん、初対面なのに馴れ馴れしかったね。」
私の返答を聞くと、また少し表情が柔らかくなる。
「そうか……いや、俺こそ悪い。忘れてくれ。」
そう言って、私に集めた荷物を渡してくれた。
その集められた荷物の一番上は、小野田くんのくれた布教用のラブヒメ資料。
手渡す瞬間にその資料に視線を落とした今泉くんはまた口を開く。
「………アニメ、好きなのか?」
「あ、うん…アニ研にね、入ろうと思ってたんだけど。今人数の関係で活動してないらしくて。同じクラスの子と再始動させるために頑張ろうって決めてさ!部員募集することにしたの。」
「…そうか。」
今泉くんはアニメなんて露ほども興味なさそうなのにわざわざアニメが好きなのか?なんて聞いてくるし、私がアニオタだとわかった上で引いた様子もない。
これは実は、意外や意外に今泉くん…………
勧誘チャンスだったりするのでは!!?
そう思い、先程よりもテンション上がり気味に質問してしまう。
「あ、あの!今泉くんは部活もう決めたの?!!」
「ああ、俺は自転車競技部だ。」
「そ…………………そっか………」