第2章 夏はまぶしい季節です。
普段はあまり今泉くんと鳴子くんの争いに身を投じない小野田くんが珍しく自分の意見を主張している。
それにしても。特に意見を求めたわけではないけれど、この展開。どうすべきか。
三人が三人とも別の色を推している。
これが全員満場一致なら素直にその色を買うということで片がつきそうな物なのに。
私がオタオタしている間も三人はそれぞれの色の良さを主張し合っていて、どうしようかと困り果てているとたまたま目が合った手嶋先輩が優しく微笑んで助け舟を出してくれた。
「お前らその辺にしとけよ。困ってるぞ。」
「なんスかパーマ先輩、随分余裕そうな顔してますけど。」
「………いや、お前ら見てたら面白くてさ。三人とも、ほんとに推してる色に似合うと思って選んだのか?」
「………どういう意味ですか?」
今泉くんが今の言葉を受けて鋭い視線を手嶋先輩に向ける。
「だってさ、赤青黄なんて完全にお前らのイメージカラーじゃん。単純に自分の好きな色に身につけてほしかっただけだろ?」
「なっ……!!」
「ええー!?ぼ、僕はそんな……!!」
「ああー、ワイは確かにそういうんもあるかもなあ。男はやっぱ好きな子自分の色に染めたい言うトコあるやん?な!小野田くん!!」
「い、いやだから僕はそういうんじゃなくて……!!」
手嶋先輩の発言に三者三様の反応を見せ、部室内は一気に騒々しくなる。
丸く収めてほしかったのだけれど、何だか逆にややこしくなってませんか手嶋先輩…。