第2章 夏はまぶしい季節です。
「……よし、今日はそろそろこんなもんでいいんじゃねぇか?そんなに詰め込みすぎてもパンクするだろ。」
「そうですね、手嶋先輩ありがとうございました!教え方も丁寧ですごくわかりやすかったですー!」
「いや、別にいいよ。そう言ってもらえてよかった。自分から教えてやるって言っておいて分かりにくかったら立場ないからな。」
そう言って手嶋先輩が笑うから、私もつられて笑ってしまう。
「ハァ………つっかれたー………。いつもならテスト言うてもこんな勉強なんてせぇへんのやけど……」
「そうだよね、鳴子くんから勉強って言葉をそもそもあんまり聞かない気がするもん。なんかあったの鳴子くん…?」
「鳴子くんね、今度のテストで赤点が1つでもあったらお小遣い大幅に減らされちゃうんだって。」
勉強道具を前に大きなため息をつく鳴子くんを見て心配になった私が尋ねると、小野田くんが本人に代わって答えてくれた。
「ええ、お小遣い……!」
「お小遣いはね!減らされたら困るよね!僕もアキバに行ったら欲しいものなんて山のようにあるからお小遣いの大切さは身にしみてわかってるからさ……。」
「そうだね。アキバは小野田くんにとって宝箱みたいなものだもんね。ほんと……なんで欲しいものって次から次へと出てきてなくなることがないんだろう。お小遣いいくらあっても足りない……。」
「それが生きてるってことなんじゃねぇか?物欲なくなるって不健全な気がするしな。欲しい物のために色々頑張れたりすることもあるしさ。」
手嶋先輩の発言にうんうんと頷いていると今泉くんが私の表情を窺いながら質問を投げかける。