第3章 錯覚
『ふぅ……』
ゴミをチリトリで集めてゴミ箱に捨てる。
一応、教官室を綺麗にホウキで掃き終わった。
『(帰ろ……)』
走るの面倒になってきたから、もう帰ることにした。
何も話さなくて、静かなのはやっぱりものすごく気まずい。
早くここから出ようと、急いで掃除道具を入れる棚にホウキを入れる。
その様子を見ている冨岡先生は何も言わない。
『(バレてないのかな……)』
冨岡先生から何か言われる前に、教官室から出ようとする。
ドア付近に立つとさっきまで口を開かなかった冨岡先生が、口を開いた。
「……終わったのか」
『まあ…はい』
何か言わないのかな、と思って次に出る言葉を待ったけど冨岡先生は口を開かなかった。
『えっと…私もう帰ります。』
ドアを開けて、急いで教官室から出る。
冨岡先生が何か言いたそうな感じだったけど、気のせいだろうと思って出た。
外に出ると炭治郎くんたちの姿はまだ見当たらない。
思っていたより、炭治郎くんたちが来るの遅かった。
きっと、文化祭で発表する曲を練習してるんだろうな……。
多分まだ遅くなりそうだけど、炭治郎くんたちの事待っとこう。
炭治郎は歌を歌って、善逸くんは三味線で、伊之助くんは太鼓で……。
炭治郎くんが歌ってる姿はきっと素敵だ。