第3章 錯覚
教官室に入ると、冨岡先生から場所を教えて貰ってロッカーからほうきを取りだした。
それからは私と冨岡先生2人ともが無言で、静かだった。
それがものすごく気まずい。今すぐにでも帰りたいって思ったけどちゃんと掃除する。
『……』
掃除したら15周走らずにもう帰ろう。
15周走り終わった、って嘘をついて。きっとバレない。
もし走ってない事がバレたら、テスト期間だからっていうのを口実にして帰る。
帰って勉強しよう。炭治郎くんに数学を教えてもらったのに、赤点とって炭治郎くんをガッカリさせたくない。
数学はもちろん、化学もダメ。
理数系が苦手。
だから数学と化学でどうにか点を稼がないと。
そう言えば、化学の先生誰だっけ。
名前が思い出せない。
化学の先生がどんな人だったか思い出す。
化学の授業は、難しいからあまり聞いていない。ちゃんと聞く時もあるけど殆ど寝ている。
『う〜ん……』
いつもマスクを着けてて、蛇を連れていて、少し近寄りがたい人……
「、手が止まっているぞ」
冨岡先生に声をかけられ、慌てて手を動かした。
人の名前覚えるのは得意じゃないから、合っているか自信ないけど思い出した。
確か伊黒先生だったかな。