第3章 錯覚
ドキドキした体育の時間はあっという間に終わった。
それからは、伊之助くんがいうほわほわなのような気持ちのまま残りの授業を受けた。
『来ましたよっと』
ちゃんと放課後に教官室に来た。炭治郎くんと善逸くんは部活があるから少し遅れてくる。
帰宅部の私はそのまま教官室へ。
窓から覗いて冨岡先生がいるか確認する。
そーっ……と覗いてみる。
『……いないじゃん』
『(なんだ、せっかく終礼終わってすぐに来たのに。)』
急いで階段を駆け下りて来た私がなんだか、少しバカみたい。
ちょっとショックを受けたかも。
──まあ、いいや。一人で寂しく掃除しよ。
でもホウキはどこだろう。
掃除棚らしき棚は見当たらない。
先にグラウンド走ろうかな。
いや、走り疲れた後に掃除……って考えれば嫌だった。
ホウキはどこにあるか冨岡先生に聞いてみよう。
そう思って冨岡先生を探す。
体育館の外に出て探すと、直ぐに冨岡先生の姿が見えた。
『とみっ、───……!!』
冨岡先生の名前を呼ぶのを私は止めた。
冨岡先生の姿ともうひとつ誰かの姿。
制服を着ていて、女子生徒なのが分かった。
一緒にいるのあの3年の先輩だった。
蝶の髪飾りで分かった。
あの人、前も冨岡先生といた気がする。先生と一緒にいるのおかしくない事だけど、体育の教科の先生といるのに少し気になった。
その先輩の名前は知らない。けど、学校内で有名な人。
2年生の人と、学園三大……なんとかという名前つけられてたような。
そんなの全然興味無いから分からない。
柄にもなく、何故か私はその場に見つからないように隠れた。
普段だったら、気にしないでそのまま冨岡先生に話しかけるか立ち去るのに。