第3章 錯覚
上手く踊れていなかったからか、冨岡先生が私に「、少し来い。教えてやる」と、話しかけた。
『わかりました……』
私は少し落ち込みながら善逸くんの手を離した。
運動神経が悪いからか分からないけど、私はダンスが苦手。
振り付けを覚えて踊るのが本当に嫌い。
みんなが丸くなっている円から少し離れている所で練習することになった。
「やった事ないのか?」
『……はい』
そうか、とそれだけ言って先生は私の肩を掴んで反対方向に向かせた。
それから、私の手を取ってから冨岡先生は身体を密着させた。
『!?』
ものすごく至近距離で、驚きを隠せない。
「最初は左足からだ」
そう言う冨岡先生の甘い吐息が私の耳にかかって、善逸くんの時より私の心臓はバクバクと鼓動する。