第3章 錯覚
順番は、背の順だった。
ギリギリ私は最初に男子と踊ることが出来る。
並んでいる間に、何人か先生が来た。
先生達は、余っている女子の隣に並んだ。
きゃああ!と喜んでいる女子達。
私が最初に踊る相手は、善逸くんだった。
「ちゃん!よろしくね!!!」
善逸くんは、ものすごく張り切っている。
『う、うん……』
なんかちょっと心配……
最初にちょっとだけ、冨岡先生がフォークダンスのやり方を説明してくれた。オクラホマミキサーって言うらしい。
難しそうだと思ったけど、私にも出来そう。
みんなの準備が確認出来て、そしたら音楽が流れた。
善逸くんがギュッと、私の手を握った。
──えっ、こんなに握ってやるの?!!
手を重ねて踊ると思っていたけど、こんなに握るんだ。
初めてフォークダンスするから分からない。これであってるんだよね?
すごく緊張して、頭が真っ白になる。
ちょっと恥ずかしくて、上手く踊れない。思っていたより、全然出来ない。
「次も左足からだよ、ちゃん」
『っえ、あ、ごめ、』
私が下手くそすぎて、善逸くんの足と絡まりそう。