第3章 錯覚
「失礼しました」
炭治郎くんがそう言ってドタを閉めた。
やっと終わった。長い苦痛から解放された。
『どうする?』
教官室から出て2人に話した。
冨岡先生の説教が長かったからあと5分しかない。
今から混ざってサッカーするのもアレだし……
「試合見とこうよ」
善逸くんが提案して私は頷いた。
とりあえずボールが当たらないような、邪魔にならないところで試合を見る。
「ごめんねちゃん、炭治郎。俺のせいで…」
ぼー……とサッカーの試合を眺めていると善逸くんが謝ってきた。
『いいよいいよ。気にしないで』
「まあまあ…仕方ないさ」
私より炭治郎くんだ。炭治郎くんの方こそ何もしてないのに怒られた。
炭治郎くんの方を向いて謝る。
「は何も悪くないよ」
微笑みながら優しくそう言ってくれる炭治郎くん。
その微笑みで胸がギューって締め付けられた。
ああ……なんて言うんだろうこの感情……
好きって感情なのかな。
恋とか好きとか全然分からない。
けどきっと炭治郎くんが好きなんだよ。優しい優しい炭治郎くんが。
炭治郎くんのその笑顔で嫌な心の気持ちが浄化される。