第3章 錯覚
体育館の入口に向かっている私に炭治郎くんが声をかけた。
足を止めて炭治郎くんの方に振り向く。炭治郎くんは怪訝そうな声で聞いてきた。
「、冨岡先生に呼ばれただろう?」
『……』
いつもなら炭治郎くんに言われたら素直に言うこと聞くけど、今は聞かない。
あんな事で怒られるなんて意味分かんないし。
『だって……。どうせさっき注意された事でしょ。いいよ、話し聞かなくて』
でも、と言う炭治郎くん。
それから何も言わなくて沈黙だった。歩きだそうとしたら、ガシッと肩を組まれた。
伊之助くんだった。
「!早く俺様と勝負しようぜ!!」
『あ、うん……』
肩を組みながらグイグイと伊之助くんは歩く。炭治郎くんは、と思いながら後ろを見る。
「炭治郎も早く」
「いや、俺とは……」
私は残らないって言ってるのに…と私は視線を下にして頭を伏せる。
「だけどよう……あのスパルタ教師、のこと獲物を狙っているような目ぇしてやがる」
伊之助くんの言葉にはっ、として顔を上げた。
「えっ?」
『はっ?』
意味分からない……どうして……どういうこと……?
頭の中がこんがらがる。
伊之助くんが言った言葉はよく分からないけど、徐々に頬に熱が集まる。