第3章 錯覚
チャイムが鳴ると、担任のホームルームが始まる。
先生の眠くなる長い話を聞く。
ホームルームが終わって、1時間目が始まる。
体育の授業は球技の選択式になっている。
バレーとサッカーに別れていて、私は炭治郎くんと同じサッカーを選んでいる。
外だから寒かったり、日焼けが気になったりするけど、楽しい。
挨拶の号令はみんな一緒に体育館でして、その後外と体育館と別々になる。
私は体育館に着くとため息がもれた。
『はあ……』
「ちゃぁああああーーーーんっっ」
後ろから名前を呼ばれた。
そしてガシッと肩を掴まれて、私は身震いだ。
「ちゃん!ため息なんかついてどうしたのさ?悩み事?何かあるなら俺話聞くよ!相談乗るからさ!」
善逸くんが凄い勢いで言う。
『な、悩みなんかないよ……早く並ばないと、先生に怒られるよ』
急に善逸くんに来られてびっくりした。
落ち着いて、と善逸くんに言えば「落ち着いていられないよぅ!」と言ってきて困った。
「善逸、が困ってるじゃないか」
そこへ炭治郎くんが来て、助けてくれた。
「だってさあ!ちゃんが心配で心配で!!」
善逸くんが何か全力で言っていると、ピーッと笛の音がした。
「おい、そこ。うるさい」
──冨岡先生だ。
善逸くんは冨岡先生に怒られてしぶしぶ自分の並ぶ列へ向かった。
「挨拶」
冨岡先生がそう言って委員長が号令をかけて挨拶をして、欠席者の確認をすると準備体操を始めた。