第3章 錯覚
学校に向かう足取りは重たい。
とぼとぼ歩いていて、遅刻しそうなくらい。
でももうそろそろ学校に着く。
大丈夫、と自分に言い聞かせて歩く。
今日は風が吹いている。
冷たい風が吹きさらし、少し気分が下がる。
──でも、冨岡先生に会えるから…
『あ……』
短い言葉を呟いて、足を止めた。
無意識に口元を手でおさえる。
あれ、なんで……
なんで"会えるから"って…
『え…?』
自分の事なのにどうしてか分からなかった。
会えるから、って
冨岡先生に会えることが嬉しい。
そういうことなの?
冨岡先生のこと正直気になるけど……
会えて嬉しいのは、好きな炭治郎くんなのに。
『……分かんない』
とりあえず、学校について教室に入ろう。
そして炭治郎くんに会おう。
そしたら、きっと──