第2章 補習
沈黙の続く中、水道の蛇口から水滴がタイルにぴちょん、と落ちた。
言葉が何も浮かばず、彼が何か次に言うまで待ち続けた。
ぎりぎりと掴んでいる力が強くなり、は痛みで眉を顰める。
『....きっ、嫌われて、ませんからっ、腕、離してくださいっ、痛いです....っ』
そうか、と呟いて腕を離して貰えたかと思えば、ギュッと抱きしめられた。
異性から抱きしめられるのは初めてで、顔から火が出そうな程恥ずかしかったが、そんなことはどうでも良かった。
こんなところを誰かに、ましてや恋心を抱いている炭治郎に見られたらどうしようと、不安でいっぱいだった。
今すぐ離れたかったが、冨岡は腕に力を込めていて離れる事はできない。
冨岡の口から何も出てこない。
はされるがままになっている。
急に力が緩くなり、離れようと思えば離れる事が出来る。
そう思うと、の肩に手を添えてに口付けをした。
『ふっ、ぅ、っせ、ん....せっ』
角度を変えて、舌を絡ませる口付けでは息が苦しくなり、瞳に涙をためる。