第4章 新しい仲間
反論しようとした矢先、花菜のスマホがメールの通知音を鳴らした。ディスプレイには及川徹の文字が映る。
「ほらほら~噂をすれば彼氏さんじゃない?」
「うっ…」
もう待ち合わせ場所の公園についたのだろうか。思った以上に長話をしてしまっていたようだ。
これ以上遅れて及川の小言が増える前にと、花菜は慌てて荷物をまとめる。
「それじゃあ私、そろそろ」
「うん!あ、ちょっとまって。連絡先だけ交換しよう」
「もちろん!」
バイト初日、まさか早速気の合う友達が出来るとは思っていなかった。新しく登録された友達の名前に花菜は密かにガッツポーズをした。
カフェを出た後、急いで待ち合わせの公園へ走った。
噴水前のベンチで自転車と共に待つ及川の姿を見つけると、花菜は笑顔全開で駆け寄った。
「徹先輩!」
「やーっと来た。遅いよ花菜」
「すみません、バイト先で仲良くなった子とつい話し込んじゃって」
「もう友達出来たんだ。さすが花菜。で、どうだった?初日の感想は」
及川と並んで歩きながら花菜はバッチリです!とピースをしてみせる。
「来るときに少し遅刻しそうになったのは危なかったですけど…」
「初っぱなから遅刻の心配かよっ!よく間に合ったね」
「ギリギリのところで飛雄が時間を教えてくれたので、なんとか」
「飛雄のやつ… ほんっとムカツク」
及川が言ったときにちょうど車が通りかかったので、その声が花菜に届くことはなかった。
然り気無く花菜を歩道に寄せてから、及川は再び自転車を引いて歩き出す。
「何か言いましたか?」
「べつに!」
なんだか怒っている気がするのは気のせいだろうか。
横を歩く及川をじっと見つめていると、花菜はふとあることに気づく。