第4章 新しい仲間
─ なんて そんなことを思う自分が少し恥ずかしくなる。
「美羽はいないの?」
「へっ?」
「彼氏とか… その、好きな人とか」
「わ、わっ、私はそのぅ」
予想外のピュアな反応に花菜は少し驚いた。
ふわふわ小動物系な彼女は、男の子からの人気も高そうだけれど。
オロオロと目線で辺りを見回した後、美羽は花菜の耳元でコソッと呟く。
「絶対に内緒だからね…っ?」
「うん」
「彼氏はいないけど、好きな人ならいるんだ。その…先輩なんだけどね」
「おおっ…!」
「でも全然だめなの。というよりまともに話したことすらないし、ただ見つめてるだけで私は十分だし!」
膝の上できゅっと掌を握り美羽は天井を見上げた。恋に疎い花菜にすら、いまの美羽の想いがひしひしと伝わってきた。
「本当に好きなんだね。その人のこと」
「へっ」
「だって美羽の想い、私にまで伝わってきたもん」
これでも元セッターだ。洞察力には人並み以上の自信がある。
「勿体ないと思うけどなぁ。せっかく そんなに好きになれる人がいるのに、見てるだけで十分なんて」
「好きな人の前に出た途端に緊張して声すらまともに出ないんだよ…?」
「そうかな?美羽の性格ならきっとすぐ打ち解けられると思うけどな」
向けられた優しい笑顔に、美羽は思わず固まった。
かと思えば、今度は肩を揺らして可笑しそうに笑い出した。
「花菜の笑顔見たらなんか変に自信が湧いてきちゃった。ありがとね」
「う、うん?」
よく分からないけれど美羽の力になれたのであれば良かった。
「私もうちょっと頑張ってみるよ。花菜も彼氏さんと仲良くねっ!」
「だ、だから彼氏じゃないってば…」