第4章 新しい仲間
初出勤から堂々遅刻… だなんて失態だけは避けたいところである。
体育館の舞台上にまとめておいた荷物を掴んで花菜は大声で頭を下げた。
「お先に失礼します。お疲れ様です!」
「「「お疲れッしたー!!!」」
「初バイト頑張れよー!」
「花菜ちゃんの分までしっかり練習しとくかんなー」
主将、副主将の頼もしいエールを受け取って花菜は笑顔で返事をした。
去り際に清水と目があって「頑張れ」と口パクされた時は、本当に天まで走れそうな気分であった。
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「つ、疲れた…」
初バイトの感想はこの4文字に尽きる。
しかし、バイト仲間はいい人たちばかりであった。
右も左も分からない花菜に1から丁寧に教えてくれた。歳も花菜と近い若い人が多く、1時間経った頃にはもうすっかり打ち解けられていた。
あ… そういえば徹先輩にバイト終わりには連絡するようにって言われてたのだ。一応、メールをしておこう。
そう思ってロッカーからスマホを取り出した時、背後から誰かに話しかけられた。
「あの…ちょっとお話してもいいかな?」
「あ、はい!」
「あっ、私も花菜ちゃんと同じ高2だからそんなに固くならなくて大丈夫だよ。私は睦月美羽(むつきみう)。美羽って呼んでね!」
ふわふわしててちょっと小動物みたいだ、というのが美羽の第一印象。
そんな彼女の言葉に花菜は嬉しそうに微笑んだ。
「結城花菜です。こちらこそよろしくね。私のことも花菜でいいよ」
「やったぁ!ありがとう花菜。ずっとバイト先で同い年の友達が欲しかったからすごく嬉しい!」
パタパタと見えない尻尾を振りながら美羽はぎゅうっと花菜の腕に抱きついた。