第10章 幼馴染の肩書き
だから月島が日向のことを "かなわない存在" だと感じていることに黒尾も花菜も驚いたのだ。
「にしても烏野の一年って変なヤツ多くないか?ほらあの、セッターくんとかさぁ!」
木兎の声に花菜はクスッと笑みをこぼす。
彼の言うとおり、今年の一年生は "変なヤツ" の集まりかもしれない。
「確かに、彼も結構変わり者ですね。技術は申し分ないですが、性格に難があると言いますか… あれでも中学の時に比べたら丸くなった方なんですよ」
「へぇ、詳しいんだな。影山のこと」
京治の言葉に花菜はうん、と頷いてみせる。
「中学校が同じだったの。私も中学までは選手だったから、結構接点もあって」
「どうりで仲良しなワケだ。いや実は俺もちょっと気になってたんだよねー。影山って女子と話したりしなさそうじゃない」
黒尾が言うと木兎も確かにと頷いた。
花菜にとって影山と話すことは当たり前の日常であるが、傍から見ればそれは意外な光景なのだそうだ。
「てかぶっちゃけ、花菜ちゃん超モテるでしょ」
「え?」
ニヤリと口角をあげて黒尾は言った。
「実はもう彼氏とかいるんじゃないの〜?」
彼氏、と言われて一番最初に浮かんだのは及川だった。
練習中は忘れようと何度も自分に言い聞かせているのに、ふとした瞬間にこうして彼の顔が脳裏に現れては花菜の頬を染める。
そして同時に 彼の告白の言葉が頭の中を過ぎるのだ。