第9章 変わろう
─ 第3体育館
「えっと… あの?」
「ほらあかーし!感謝しろよ、烏野の彼女ちゃん連れてきてやったぞ!」
本日の練習試合が全て終わってすぐ 花菜は梟谷の主将である木兎に腕を引かれ、半ば強引にここ第3体育館へと連れてこられた。
中に入ってみればなんと京治がいて、自分たちを会わせることが木兎の狙いだったのかと花菜は悟った。
「木兎さん、手を離してあげてください。ていうか他校のマネージャーを無理やり引っ張ってくるなんてさすがに強引すぎですよ」
「それに関しては悪かったと思ってる。許してくれ、花菜!」
「わ、私は全然構いません」
少々強引だったとはいえ木兎なりの気遣いだったのだろう。
実際、練習後の自由な自主練の時間に京治と会えたのは花菜も嬉しかった。
「へぇー キミたち幼なじみだったの」
声を掛けてきたのは音駒高校の黒尾。近くにはあのリエーフいもいたが、疲れきった様子で床に伏せている。
黒尾とのレシーブ練習の最中に力尽きてしまったそうだ。
「音駒と梟谷の御三方が揃って自主練ですか?」
「木兎さんがどうしてもっていうから、仕方なくね。やりすぎもあんまり良くはないんだけど」
そんなことを言いながらも京治だって十分乗り気に見える。
言動は冷静でも、バレーにかける熱量は彼だって他の選手たちと同じなのだろう。
「なんか、良いですね。こうやって色んな高校がお互いに高めあって練習出来るのって」
「あぁ。何より自分自身の課題がより明確になる。得られるものも大きいし、合宿で学べることは沢山あるよ」
「赤葦、お前いいこと言うなあ!!」