鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第11章 :番外編 夜会❶〜彼女のパートナーは誰?〜
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リンはまたしても、訓練兵団前にいた。
(何も考えずにここに来たけど…よく考えたら訓練兵は私より年下だし、パートナーは成人男性じゃないとダメだった。)
門前で立ち尽くし悩んでいると…既に顔馴染みになりつつある門兵に、話しかけられた。
「エレン・イェーガーと約束ですか?」
『えっ?!え〜と…』
確かに壁外調査後に会いに来る約束はしたが、予定を何も聞かずに来た為…一度調査兵団に戻ろうと考えた。
そう答えようとしたその時…
「えっ…リンさん?」
振り向くと…私服姿のジャンが、驚き顔で立っている。
『えっと…』
首を傾げる少女に、すかさず突っ込む。
「ジャンですよ!ジャン・キルシュタイン!一緒にご飯食べたんだから、いい加減覚えて下さいよ!」
『嘘だよ〜覚えてる。ジャン、久しぶりだね!』
少女は悪戯顔でふふと小さく笑い見つめる。
白いレースのスカートがふわりと風で舞い、同時に黒い艶やかな髪も揺らした。
(ッ!?可愛い…)
その表情をボーッと見つめる。
『ジャン、怒った?』
自分をジッと見上げる視線に頬が熱くなり、さり気なく視線を外した。
「別に…怒ってないです。それより、壁外調査から帰って来たんですね!無事で良かったです。」
『心配してくれたの?』
「当たり前です、俺はそんな薄情な人間じゃないですよ!」
『ありがとう!ジャンは優しいね。』
(…ヤバイ…俺が好きなのはミカサだ!ミカサだろ?)
心の中で念仏のように唱える。
『そうだ、ジャン!私服着てるって事は今日、お休み?』
「あっはい、そうですが…」
『じゃあ私と、デートしよ!!』
「えっ?!デート…ですか?」
目を見開く。
『イヤ?』
上目遣いで首を傾げる。
「全然、OKです!」
(むしろ大歓迎だ!)
『じゃあ行こ〜!』
「ハイ!あっでも、エレン達に会いに来たんじゃ…」
『そうなんだけど…何も言わずに来ちゃったし、先にお菓子でも買って戻ろうと思って。選ぶの付き合ってね!』
そうして2人は、街へ出かけて行った。
「おいおい、あれジャンじゃねぇか!私服で女と出かけるってデートか〜?相手誰だ〜ってあれ?あの人もしかして…」
コニーに見られていた事を、全く気付かない2人だった。