鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第10章 :少女とハンジの試み〜壁外調査:後編〜
作戦を終了させたリコ達精鋭班は、通常の壁上防衛に戻っていた。
それを横目で確認したリンは壁上に寝転び、オレンジ色に染まる空に流れる雲を眺めていた。
するとその景色に、見慣れた不機嫌顔が映り込む。
「いつまでこんな所でへたばってる?汚ねぇから早く起きろ!」
『あっリヴァイ、お疲れ〜!』
少女は寝転びながら、覗き込むリヴァイに笑いかける。
「いいから立て。ほら…」
出された手を掴むが…上半身だけ起き上がらせ、そのままの姿勢でリヴァイをジッと見つめる。
そして…
『抱っこ!!』
両手を伸ばし、ニッコリ笑った。
「あ?ふざけんな、自分で立て!」
『だってもう力、残ってないんだもん!じゃあ、エルヴィン呼んで…』
「チッ…首に掴まれ!」
『は〜い!!』
少女が嬉しそうに首に掴まると…リヴァイはリンの両膝裏に手を入れ、そのまま軽々と抱き上げた。
トクントクントクン…
リンは生存を確かめるように抱きつき、胸に耳を当てると…少し早い鼓動を感じ頰を緩ませる。
『リヴァイの生きてる音がする…』
「当たり前だ。」
『うん…良かった!』
「そうか…」
リヴァイは一言そう呟くと…リンを抱いたまま、沈む夕陽を眺め微笑を浮かべた。
10章 壁外調査:後編 fin.
⌘ オマケ ⌘
「あの…2人はその…もしかして、恋人同士…ですか??」
壁外の監視をしていた駐屯兵達が困惑した表情で、友人を抱き上げたリヴァイを凝視している。
リンを迎えに来たハンジは、2人を見てニヤニヤしながら答えた。
「ん?あ〜あれはいつもの事だよ。あれでまだあの2人、恋人じゃないんだよね〜。あの子はかなり鈍感だから、絶対気付かないよ…リヴァイの気持ち。」
「おいリン、俺は戻るぞ。お前もいい加減…あ?」
腕に抱く少女を見下ろすと、既にスヤスヤと眠りについている。
リヴァイは大きなため息を吐く。
「オイ、雷獣!コイツを任せる。」
何もない空間に声をかけると…白い獣が2本の尾を揺らしながら、少女の影から現れる。
そして自分の背に少女を乗せ、そのままスッと消えた。
(どう見ても恋人だけど…)
困惑する精鋭班には目もくれず、リヴァイもその場から去った。
オマケ fin.