鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第10章 :少女とハンジの試み〜壁外調査:後編〜
ふとエルヴィンはある班に目が止まった。
いつも見るメンバーではあるが、誰か足りない…
「ミケ…あれはハンジの班員ではないか?」
「そうだな。しかし…」
いつも騒ぎながら馬を走らせる、班長の姿が見当たらない。
「ニファ!」
ミケは一旦エルヴィンから離れ、班員達に近付く。
「ミケ分隊長、お疲れ様です!」
ニファは馬から降り、綺麗な姿勢で敬礼をする。
「お前達、ハンジはどうした?」
「はっ!帰路で特別な任務があるから、先に帰って欲しいと言われまして…」
「そんな事は聞いてないぞ?」
「えっ、そうなんですか?モブリット副班長も連れて行かれたので、団長からの特別任務かと思ったのですが…。」
ニファは心底驚いたように目を見開く。
「…何をすると言っていた?」
「いえ、それは聞いてません。私達もお手伝いしますと申し出たのですが…人員は足りているからと、モブリット副班長だけ記録係として同行されました。」
「そうか…。ではお前たちはそのまま、真っすぐ壁に向かえ。」
「了解です!」
ニファはまた馬に跨り、他2人の班員と壁へ向かって行った。
ミケは思案顔でエルヴィンの元に戻る。
「エルヴィン、ハンジに何か頼んだか?」
「ん?いや何も。…何かあったのか?」
「ハンジがモブリットを連れて、特別任務があるからと姿をくらましたらしい。」
「単独行動か…。まさか、昨夜からの嫌な予感はこれか?ミケ、リヴァイを呼び戻せ!ミケはそのままリヴァイと交代し、煙弾の援護を頼む。」
「了解だ!」
(ハンジ…まさか単独で、巨人を捕獲する気ではないだろうな?しかし捕獲用の道具は、持っていなかった筈だ。どうする気だ?)
エルヴィンは辺りを見回し、リヴァイの到着を待ちながらハンジの策略を考えるのだった。