鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第8章 :少女の初陣〜壁外調査:中編〜
(まさかこの子に助けられるなんて…)
「どうして…助けたの?私達は貴女に…」
あの話の後…実は他にも、嫌がらせを沢山した。
(私はその嫌がらせに加担してないけど、止めもしなかった…)
「なのに…何で?」
『人を助けるのに、理由が必要?【助けて!】って言われたから、助けただけ。それに…あの嫌がらせしたの、貴女じゃないでしょ?』
「なッ?!何で…」
『知ってるから。あの嫌がらせもね、代わりに怒ってくれた人が沢山いたから…今はもう気にしてないの。』
「は?」
「おいリン!いつまでくだらねぇ事、喋ってるつもりだ?いい加減、合流地点に戻るぞ!」
『は〜い!あっえ〜と、リヴァイに告白した…』
「エリナ!エリナ・ローレンよ!…いい加減、それは忘れて。」
『うん、分かった!壁外調査が終わったら、また話そうね〜エリナ!あとこれ…あげる。』
「…お菓子?」
『2個くらい食べれば、体力回復すると思うよ。』
「…あり…がとう。」
『ん?』
小声で呟いた為、リンの耳には届かない。
「助けてくれて…ありがとう!」
少し照れながら…でも目は逸らさず、ハッキリと伝える。
『うん!!』
少女は満面の笑みを返した。
8章 fin.
⌘ オマケ ⌘
「おいリン…お前は帰り、俺の馬に乗れ!」
『え〜いいよ、レイで帰るから。』
「あ?てめぇ…昨日俺が言った事、まさか忘れたのか?」
(あ〜そういえば何か【知らない人の前で、無闇にパッと消えるな】とか、言ってた気がする…)
『あ〜うん、分かった。でも私多分寝ちゃうから…後ろだと落ちる。』
「チッ、仕方ねぇな…来い!」
リヴァイはリンを馬上に引き上げ、自分の前に横向きで座らせる。
リンはその腰に手を回し…リヴァイも落ちないように腰を片手で支え、もう一方の手で手綱を掴んだ。
「お前ら、戻るぞ!」
リヴァイ達の馬の後に、女兵士エリナが戻って来た自分の馬に跨り後に続く。
その後ろを、リヴァイ班のグンタが追いかけた。
エリナは前を走るリヴァイの馬を、ジッと見つめる。
(何あれ…ちょっとあの2人、くっつき過ぎじゃない?あの子寝てるし!でも…)
少女を馬に乗せた時の、見た事もないリヴァイの表情が忘れられず…モヤモヤするエリナだった。