鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第8章 :少女の初陣〜壁外調査:中編〜
ふと何かの気配がした。
振り向きたくない…振り向いたらダメ!
でも確認しなきゃ!
恐る恐る振り向くと…窓の外からこちらを覗く巨人と、目が合った。
「あ…あぁ…」
大きな手が部屋の中に伸びて来る。
まるで時が止まったみたいに、ゆっくりと身体を掴まれる。
(ここで終わるんだ。こんな所で1人、こんな気持ち悪い巨人に食われて…。最後にもう一度…一目だけでも、好きな人に会いたかった。貴方に助けられた命を、ムダにしてごめんなさい…)
「好きでした…リヴァイ兵長…」
ドゴーン!!
女兵士が呟いた時…突然大きな音と共に、辺りが明るくなる。
そして自分の身体を掴む巨人の手がビクッと震え、ゆっくり外れた。
(何?外で何が起きてるの?)
女兵士は痛む身体を引き摺りながら外に出ると、自分の身体を掴んでいた巨人が絶命している。
「…何が?あっ…」
そして先程見つけた15m級巨人が、ニタニタ笑いながらこちらに近付いて来る。
「いや…誰か…お願い…助けて!!」
今出せる声を、最大限振り絞り叫ぶ。
『了解!』
少女の声が聞こえたと思った瞬間巨人に雷が落ち…閃光を放ちながら回転し足と項を削ぐ頼もしい人影が、地に降り立った。
「リ…ヴァイ…兵…長?」
「無事か?」
女兵士はその場にへたり込み、茫然と男を見上げる。
死ぬ前に一目会いたいと思ってた人が今目の前にいて、また自分を助けてくれた…。
「オイ、聞こえてるか?無事かと聞いている。」
「はっはい、無事です!」
『良かった!』
リヴァイの横に小柄な少女が降り立つ。
その少女を見た瞬間、女兵士は目を見開いた。
「あっ…貴女…」
その少女には見覚えがあった。
調査前にしたリヴァイへの告白を邪魔され、幹部への呼び方など注意した少女だった。